ちはやぶの中をかけ回って、みぞをこえて、やっとのことで小屋へ行く道を見つけて中へはいることができた。
 その小屋は丸太《まるた》やしばをつかねて造《つく》ったもので、屋根も木のえだのたばを積《つ》み重ねて、雪が間から流れこまないように固《かた》くなわでしめてあった。
 犬たちはうれしがって、元気よく先に立ってかけこんだ、ほえながらたびたびかわいた土の上をほこりを立てて転《ころ》げ回《まわ》っていた。
 わたしたちの満足《まんぞく》もかれらにおとらず大きかった。
「こういう森の中の木を切ったあとには、きこりの小屋があるはずだと思っていた」と親方が言った。「もういくら雪が降《ふ》ってもかまわないぞ」
「そうですとも。雪なんかいくらでも降れだ」とわたしは大いばりで言った。
 わたしは戸口――というよりも小屋に出入《しゅつにゅう》する穴《あな》というほうが適当《てきとう》で、そこにはドアも窓《まど》もなかったが――そこまで行って、わたしは上着とぼうしの雪をはらった。せっかくのかわいた部屋《へや》をぬらすまいと思ったからである。
 わたしたちの宿《やど》の構造《こうぞう》はしごく簡単《かんたん》
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