ラ・ギョッチエール、ロテル・デューなどという橋のことは、生えぬきのリヨン人同様によく知っていた。
 しかしやはりわからなかった。とうとう白鳥号を見つけることはできなかった。
 わたしたちはとうとうリヨンを去らなければならなかった。そしてディジョンに向かった。それでわたしはもうミリガン夫人《ふじん》に二度と会う希望《きぼう》を捨《す》てなければならなかった。それはリヨンでフランス全国の地図を調べてみたが、どうしても白鳥号がロアール川に出るには、これより先へ川を上って行くことのできないことを知ったからであった。船はシャロンのほうへ別《わか》れて行ったのであろう。そう思ってわたしたちはシャロンに着いたが、やはり船を見ることなしにまた進まなければならなかった。これがわたしの夢想《むこう》の結末《けつまつ》であった。
 いよいよいけなくなったことは、冬がいまや目近《まぢか》にせまってきたことであった。わたしたちは目も見えないような雨とみぞれの中をみじめに歩き回らなければならなかった。夜になってわたしたちがきたない宿屋《やどや》かまたは物置《ものお》き小屋《ごや》につかれきってたどり着くと、もうは
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