をすかして見ることができた。
わたしが水の中をじっとのぞきこんでいると、だれかがわたしの名前を呼《よ》んだ。それはアーサであった。かれは例《れい》の板に乗せられて運び出されていた。
「きみ、よくねられたかい、野原にねむるよりも」とかれはたずねた。わたしは半分、ミリガン夫人《ふじん》にあいさつするように、ていねいによくねむられたことを話した。
「犬は」アーサが聞いた。
わたしはかれらを呼《よ》んだ。かれらはジョリクールといっしょにかけて来た。このさるはいつも芝居《しばい》をやらされると思うときするように、しかめっ面《つら》をしていた。
ミリガン夫人《ふじん》はむすこを日かげに置《お》いて、自分もそのそばにすわった。
「それでは、あちらへ犬とさるを連《つ》れて行ってください。わたしたちは課業《かぎょう》がありますから」とかの女は言った。
わたしは連中《れんじゅう》を連《つ》れてへさきのほうへ退《しりぞ》いた。
あの気のどくな病人の子どもに、どんな課業《かぎょう》ができるのだろう。
わたしはかれの母親が手に本を持って、むすこに課業を授《さずけ》けているのを見た。
かれはそれを覚
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