。
なにをしたらよかろう。
わたしはこの問題をいろいろ考え回した。そのときわたしが思い出したのは、ヴィタリス親方がいつか言ったことに、軍隊《ぐんたい》が長い行軍《こうぐん》で疲労《ひろう》しきると、楽隊《がくたい》がそれはゆかいな曲を演奏《えんそう》する、それで兵隊《へいたい》の疲労を忘《わす》れさせるようにするというのであった。
そうだ。わたしがなにかゆかいな曲をハープでひいたら、きっと空腹《くうふく》を忘れることができるかもしれない。わたしたちはみんなひどく弱りきっている。でもなにかゆかいな曲をひいたら、かわいそうな二ひきの犬たちも、ジョリクールといっしょにおどりだして、時間が早く過《す》ぎるかもしれない。
わたしは二本の木によせかけておいた楽器《がっき》を取り上げて、堀割《ほりわり》のほうに背中《せなか》を向けながら、動物たちの列を作ってならばせ、ダンス曲をひき始めた。
初《はじ》めのうちは、犬もさるもダンスをする気にもなれないらしかった。かれらの欲望《よくぼう》は食べ物のほかになかった。そのいじらしい様子を見ると、わたしの胸《むね》は痛《いた》んだ。けれどもかわいそう
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