きた。犬たちは哀願《あいがん》するような目つきをたえずわたしに向けた。そしてジョリクールはおなかをさすって、おこって、きゃっきゃっとさけんでいた。
それでもゼルビノはまだ帰って来なかった。もう一度わたしはカピをやって、なまくらものの行くえを探《さが》させた。けれども三十分たってから、やはりカピだけ独《ひと》りぼんやり帰って来た。
どうしたらいいであろう。
ゼルビノは罪《つみ》を犯《おか》したが、またかれの過失《かしつ》のためにわたしたちはこんなひどい目に会わされることになったのであるが、かれをふり捨《す》てることはできなかった。三びきの犬を満足《まんぞく》に連《つ》れて帰らなかったら、親方はなんと言うであろう。それになんといっても、わたしはあのいたずら者のゼルビノをかわいがっていた。
わたしは晩《ばん》がたまで待つ決心をした。けれどなにもせずにいることはできるものではなかった。わたしたちはなにかしていればきっとこれほどひどい空腹《くうふく》がこたえないであろうと思った。
わたしはなにか気をまぎらすことを考え出したなら、さし当たりこれほどひもじい思いを忘《わす》れるかもしれない
前へ
次へ
全320ページ中173ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング