わたしたちといっしょにまつ[#「まつ」に傍点]葉の上でねむろうとはしないで、わたしの野営地《やえいち》の入口に、歩哨《ほしょう》のように横になっていた。わたしはカピが番をしてくれればだれも案内《あんない》なしに近づけないと思ったから、落ち着いてねむることができた。
 でもこれだけは心配はなかったが、すぐにはねむりつけなかった。ジョリクールはわたしの上着の中にくるまって、そばでぐっすりねむっていた。ゼルビノとドルスは、わたしの足もとでからだをのばしていた。けれどもわたしの心配はからだのつかれよりも大きかった。
 この旅行の第一日は悪かった。あくる日はどんなであろう。わたしは腹《はら》が減《へ》ったし、のどがかわいていた。それでいてたった三スーしか持っていなかった。あしたいくらかでももうけなかったら、どうしてみんなに食べ物を買ってやることができよう。それに口輪《くちわ》はどうしよう。これから歌を歌う許可《きょか》は、いったいどうしたらいいだろう。許《ゆる》してくれるだろうか。さもないとわたしたちはみんな、やぶの中でおなかが減《へ》って死んでしまうだろう。
 こういうみじめな、あわれっぽい疑
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