いい場所は見つからなかった。それに花こう岩の中にはいってねむれば、しめっぽい夜風を防《ふせ》ぐたしにもなろうと思った。ここでわたしたちというのは、さるのジョリクールとわたし自身のことを言うので、犬たちは外でねむったところでかぜをひく気づかいもなかった。わたしは自分のからだをだいじにしなければならなかった。わたしのしょっている責任《せきにん》は重かった。わたしが病気になったらわたしたちみんなどうなるだろう。またわたしがジョリクールの看病《かんびょう》をしなければならないようだったら、今度はわたしがどうなるだろう。
 わたしたちは石の間にほら穴《あな》のような所を見つけた。そこにはまつ[#「まつ」に傍点]の落ち葉がたまっていた。これで、上には風を防《ふせ》ぐ屋根があり、下にはしいてねるふとんができた。これはひじょうに具合がよかった。足りないのは食べ物ばかりであった。わたしはおなかのすいていることを考えまいと努《つと》めた。ことわざにも言うではないか、『ねむるのは食べるのだ』と。
 いよいよ横になるまえに、わたしはカピに張《は》り番《ばん》をたのむと言った。するとこの忠実《ちゅうじつ》な犬は
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