や》から外へ出る気にもならずに、ぼんやりくらしてしまった。さるも犬もやはりすっかりしょげきっていた。
やっとのことで三日目に一人の男が親方の手紙を届《とど》けて来た。その手紙によると、親方はこのつぎの土曜日に、警察権《けいさつけん》に反抗《はんこう》し、かつ巡査《じゅんさ》に手向かいをした科《とが》で裁判《さいばん》を受けるはずになっていた。
「わたしがかんしゃくを起こしたのは悪かった」と手紙に書いてあった。「とんだ災難《さいなん》を招《まね》いたがいまさらいたしかたもない。裁判所《さいばんしょ》へ来てごらん、教訓《きょうくん》になることがあるであろう」
こういって、それからなお二、三の注意を書きそえて、自分に代わって犬やさるたちをかわいがってくれるようにと書いてあった。
わたしが手紙を読んでいるあいだ、カピがわたしの両足の間にはいって、鼻を手紙にこすりつけて、くんくんやっていた。かれが尾《お》をふる具合で、わたしはかれがこの手紙が主人から来たことを知っていると思った。この三日のあいだにかれが少しでもうれしそうな様子を見せたのはこれが初《はじ》めてであった。
わたしは土曜日の朝
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