》い声《ごえ》で、しかしその答えはじゅうぶんであった。みんなは親方に賛成《さんせい》して巡査《じゅんさ》を嘲弄《ちょうろう》した。とりわけジョリクールがかげでしかめっ面《つら》をするのをおもしろがっていた。このさるは『権力《けんりょく》が代表せられる令名《れいめい》高き閣下《かっか》』の真後《まうし》ろに座《ざ》をかまえてこっけいなしかめっ面をして見せていた。巡査《じゅんさ》は両うでを組んで、それからまた放して、げんこつをこしに当てて、頭を後ろに反《そ》らせていた。そのとおりをさるはやっていた。見物人らはおかしがって、きゃっきゃっと言っでいた。
巡査はそのときふとなにをおもしろがっているのか見ようとして後ろをふり向いた。するとしばらくのあいださると人間とはたがいににらみ合わなければならなくなった。どちらが先に目をふせるか問題であった。
群衆《ぐんしゅう》はおもしろがって金切り声を上げていた。
「きさまの飼《か》い犬《いぬ》があすも口輪《くちわ》をしていなかったらすぐきさまを拘引《こういん》する。それだけを言いわたしておく」
「さようなら閣下《かっか》。ごきげんよろしゅう。いずれ明日
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