けになるにも、
「一寸法師《いっすんぼうし》や。一寸法師《いっすんぼうし》や。」
といって、お供《とも》にお連《つ》れになりました。だんだん仲《なか》がよくなるうち、何《なん》といっても二人《ふたり》とも子供《こども》だものですから、いつかお友達《ともだち》のようになって、時々《ときどき》はけんかをしたり、いたずらをし合《あ》って、泣《な》いたり笑《わら》ったりすることもありました。ある時《とき》またけんかをして、一寸法師《いっすんぼうし》が負《ま》けました。くやしまぎれに一寸法師《いっすんぼうし》は、そっとお姫《ひめ》さまが昼寝《ひるね》をしておいでになるすきをうかがって、自分《じぶん》が殿《との》さまから頂《いただ》いたお菓子《かし》を残《のこ》らず食《た》べてしまって、残《のこ》った粉《こな》をお姫《ひめ》さまの眠《ねむ》っている口《くち》のはたになすりつけておきました。そして自分《じぶん》はからっぽになったお菓子《かし》の袋《ふくろ》を手《て》に持《も》って、お庭《にわ》の真《ま》ん中《なか》に出て、わざと大きな声《こえ》でおいおい泣《な》いておりました。その声《こえ》を聞《
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