みばん》なんにも食《た》べないで、おなかのへっていることを思《おも》い出《だ》しました。そこでさっそく打《う》ち出《で》の小槌《こづち》を振《ふ》って、そこへ食《た》べきれないほどのごちそうを振《ふ》り出《だ》して、お姫《ひめ》さまと二人《ふたり》で仲《なか》よく食《た》べました。
 ごちそうを食《た》べてしまうと、こんどは金銀《きんぎん》、さんご、るり、めのうと、いろいろの宝《たから》を打《う》ち出《だ》しました。そしていちばんおしまいに、大きな舟《ふね》を打《う》ち出《だ》して、宝物《たからもの》を残《のこ》らずそれに積《つ》み込《こ》んで、お姫《ひめ》さまと二人《ふたり》、また舟《ふね》に乗《の》って、間《ま》もなく日本《にっぽん》の国《くに》へ帰《かえ》って来《き》ました。

     四

 一寸法師《いっすんぼうし》が宰相殿《さいしょうどの》のお姫《ひめ》さまを連《つ》れて、鬼《おに》が島《しま》から宝物《たからもの》を取《と》って、めでたく帰《かえ》って来《き》たといううわさが、すぐと世間《せけん》にひろまって、やがて天子《てんし》さまのお耳《みみ》にまで入《はい》りまし
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