た。
 そこで天子《てんし》さまは、ある時《とき》、一寸法師《いっすんぼうし》をお召《め》しになってごらんになりますと、なるほど気高《けだか》い様子《ようす》をしたりっぱな若者《わかもの》でしたから、これはただ者《もの》ではあるまいと、よくよく先祖《せんぞ》をお調《しら》べさせになりました。それで一寸法師《いっすんぼうし》のおじいさんが、堀河《ほりかわ》の中納言《ちゅうなごん》というえらい人で、むじつの罪《つみ》で田舎《いなか》に追《お》われて出来《でき》た子が、一寸法師《いっすんぼうし》のおとうさんで、それからおかあさんという人も、やはりもとは伏見《ふしみ》の少将《しょうしょう》といった、これもえらい人の種《たね》だということが分《わ》かりました。
 天子《てんし》さまはさっそく、一寸法師《いっすんぼうし》に位《くらい》をおさずけになって、堀河《ほりかわ》の少将《しょうしょう》とお呼《よ》ばせになりました。堀河《ほりかわ》の少将《しょうしょう》は、改《あらた》めて三条宰相殿《さんじょうさいしょうどの》のお許《ゆる》しをうけて、お姫《ひめ》さまをお嫁《よめ》さんにもらいました。そして摂
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