ことをいろいろとこしらえて、お姫《ひめ》さまが平生《へいぜい》大臣《だいじん》のお娘《むすめ》に似合《にあ》わず、行儀《ぎょうぎ》の悪《わる》いことをさんざんに並《なら》べて、
「いくら止《と》めても、ばかにしていうことをちっとも聴《き》かないのです。」
とおいいつけになりました。
宰相殿《さいしょうどの》はなおなおおおこりになって、一寸法師《いっすんぼうし》にいいつけて、お姫《ひめ》さまをお屋敷《やしき》から追《お》い出《だ》して、どこか遠《とお》い所《ところ》へ捨《す》てさせました。
一寸法師《いっすんぼうし》はとんだことをいい出《だ》して、お姫《ひめ》さまが追《お》い出《だ》されるようになったので、すっかり気《き》の毒《どく》になってしまいました。そこでどこまでもお姫《ひめ》さまのお供《とも》をして行くつもりで、まず難波《なにわ》のおとうさんのうちへお連《つ》れしようと思《おも》って、鳥羽《とば》から舟《ふね》に乗《の》りました。すると間《ま》もなく、ひどいしけ[#「しけ」に傍点]になって、舟《ふね》はずんずん川《かわ》を下《くだ》って海《うみ》の方《ほう》へ流《なが》され
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