たらふくたべてのんだあげく、お上さんに、
「おい、にわとりをつれてこい。」といいつけました。
それは、ふしぎなめんどりでした。テーブルの上にのせて、鬼が、
「生め。」といいますと、すぐ金のたまごをひとつ生みました。鬼がまた、
「生め。」といいますと、またひとつ、金のたまごを生みました。
「やあ、ずいぶん、とくなにわとりだな。おとうさんのおたからというのは、きっとこれにちがいない。」と、下からそっとながめながら、ジャックはそうおもいました。
鬼はおもしろがって、あとからあとから、いくつもいくつも、金のたまごを生ましているうち、おなかがはってねむたくなったとみえて、ぐすぐすと壁《かべ》のうごくほどすごい大いびきを立てながら、ぐっすりねこんでしまいました。
ジャックは、鬼のすっかりねむったのを見すまして、ちょうど鬼のお上さんが、台所へ行っているのをさいわい、そっとだんろの中からぬけだしました。そして、テーブルの上のめんどりを、ちょろり小わきにかかえて、すたこらお城を出て行きました。
それから、どんどん、どんどん、かけだして行って、豆の木のはしごのかかっている所までくると、するするとつ
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