Aなかまのひとたちと、おたがいもののわかった話をしあうことだ。バケツだけは、ときどき裏までつれていかれるが、そのほかのなかまは、いつでもうちのなかでくらしている。わたしたちのなかまで新聞|種《だね》の提供者《ていきょうしゃ》は、市場がよいのバスケットだ。ところが、あの男は、政府や人民のことで、だいぶおだやかでない話をする。それで、こないだも、古瓶《ふるがめ》のじいさんが、びっくりしてたなからころげおちて、こなごなにこわれたくらい[#「くらい」は底本では「くい」]だ。あいつは、自由主義だよ、まったく。」
「さあ、きみは、あんまりしゃべりすぎるぞ。」と、ほくち箱が、くちをはさみました。そして、火切石にかねをぶつけたので、ぱっと火花がちりました。
「どうだ、おたがいに、おもしろく、ひと晩すごそうじゃないか。」
「うん、このなかで、だれがいちばん身分たかく生まれてきたか、いいっこしようよ。」と、マッチがいいました。
「いいえ、わたくし、じぶんのことをとやかく申したくはございません。」と、石のスープ入がこたえました。「まあ、それよりか、たのしい夕べのあつまりということにいたしてはどうでございまし
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