《み》てにこにこしながら、
「なあにたぬきさん、ぴりぴりするのははじめのうちだけだよ。じきになおるから、少《すこ》しの間《あいだ》がまんおし。」
と言《い》って帰《かえ》っていきました。
四
それから四、五|日《にち》たちました。ある日うさぎは、
「たぬきのやつどうしたろう。こんどはひとつ海《うみ》に連《つ》れ出《だ》して、ひどい目にあわせてやろう。」
と独《ひと》り言《ごと》を言《い》っているところへ、ひょっこりたぬきがたずねて来《き》ました。
「おやおや、たぬきさん、もうやけどはなおったかい。」
「ああ、お陰《かげ》でたいぶよくなったよ。」
「それはいいな。じゃあまたどこかへ出かけようか。」
「いやもう、山はこりごりだ。」
「それなら山はよして、こんどは海《うみ》へ行こうじゃないか、海《うみ》はおさかながとれるよ。」
「なるほど、海《うみ》はおもしろそうだね。」
そこでうさぎとたぬきは連《つ》れだって海《うみ》へ出かけました。うさぎが木の舟《ふね》をこしらえますと、たぬきはうらやましがって、まねをして土の舟《ふね》をこしらえました。舟《ふね》ができ上《あ》がる
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