かた》られた、そして又それを口実に管理されてしまった鷺太郎の財産は、この裸体国の為に、消費されてしまったのであろう。
――そんなことを考えているうちに、その裸体の彼女等は、この三人が別に危害を加えるのでないと知ったと見えて、大胆に近寄って来た。そして眼のやり場に困っている、どこへやっても四囲の鏡が彼女等の肢体を大写しに瞼《まぶた》の中に叩きこむのだから――彼に訴えた物語りは、なんと奇怪なものであった。
端的にいえば、彼女等は両親も知らぬ孤子《こじ》、又は金に売られた貧民の子供だったのだ。
それを犬ころのように買って来た山鹿は、まるで人形のように粧《よそお》わせて、この奇怪な美少女国の主となっていたのだ。
罪深き、山鹿十介――、なんと非道の悪魔であろう。その悪魔も、この人形たちに刺戟を求めきれなくなり、あの大井瑠美子を恋して一|言《ごん》のもとに退けられ、遂に殺してしまったのだ。
そして「殺人」の魅惑は、この刺戟に倦《あ》きた人形国の主に、新らたなる、強烈な刺戟を与えたのに違いない。そして、あの迷宮入りの成功は彼の気持に拍車をかけ、その刺戟慾は、この薄倖な少女達を次々にその犠牲
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