前に問合せて置いた石井みち子からの手紙は、毎日待ち暮しているのになかなか来ないのだ。と突然電報がやって来た。
 村尾健治から木曾礼二郎あての私信電報。
 ――ケッコウシマス、テツヅキヨロシクタノム。九月一日附――。

 木曾礼二郎は文字通り愕然とした。村尾はこの地球を爆砕しようというのか! 注意をしたのに返事もせぬ石井みち子は何をしているのだ。
 地球を粉砕するというのに手続きも糞もあるものか!
 木曾は、給仕を呼ぶ暇《いとま》もなく、泡をくって研究所を飛出すと、急いで郵便局に駈けつけた。
 木曾礼二郎から村尾健治あて私信電報。
 ――マテ。アトフミ。九月一日附――。

 木曾礼二郎から、石井みち子あて私信電報。
 ――ムラオヲ、ジッケンシツニイレルナ。アトフミ。九月一日附――。

 息を弾ませた木曾が、研究所の自分の部屋に帰って来ると、郵便局に行っている間に、航空便が届けられていた。

 石井みち子から木曾礼二郎あての私信。
 ――先日はお手紙ありがとう存じました、早速に御返事を、と思いながら色々の都合ですっかり遅れてしまい、申訳ございません、それで、遅れを少しでも取り戻そうと、この
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