ちの番がやって来ました、僕たちはこの水銀の中の一電子にいた「人間」の方法によって(残念ながら我々にはまだその通り真似る力はありませんが)、尠くとも超大巨人の宇宙爆撃の前に、地球自らの爆砕によって太陽系という一原子を変換せしめ、超大巨人に我々の科学の存在したことを示さねばなりません、僕は極力その準備にとりかかります、きっと最後まで石井さんは、この上もなきよく助手でいてくれるでしょう、それが僕の唯一の喜びであります。(声と文字以外の感応の方法によって、生物間の意志が疎通出来る方法が見つけられてあったならば、或いは僕の爆撃しようとしている電子上の極小人間、又、我々の地球を爆撃しようとしている超大巨人と、互いに了解し合うことが出来たかも知れませんが、それは最早、今の間に合わぬことになってしまいました、同時に又、今までの方法ではどうしても打あけることの出来ない気の小さい僕は、石井さんとも了解し合うことが出来ずに終るでしょう……)
いずれにせよ、準備の方をいそぎたいと思います、又お手紙いたします。八月十六日附――。
九
この、容易ならん村尾の手紙を貰ってから半月ほどもすぎた。
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