とも岡村からの知らせで始めてわかったようなものでした。伯母のいる頃、良人は一、二度遊びにいったこともあるそうですが、金貸しをして居り、何せ評判の倹約家で、ものにすたりはないと言い、一本の爪楊枝も無駄にはせずささくれたら又削って楊枝入れへさしておく、といった調子、便所へは新聞紙を小さく切って入れておくのだそうですが、その減りかたが激しいといって伯母などよく叱られていたそうです。朝晩芥箱をのぞくのはおきまりで、自分で考案した竹の鋏で何や彼やを拾ってきては、勿体ない、を言いつづけ、大根の尻っぽや人蓼の皮まで、味噌汁のだしにしたりして用立て、人からきた手紙の封筒やかん袋など裏がえして帖面にとじておく、というような気のつき様、噂をきくさえ嘆じいる他はありません。
 良人の話ですと、戸部の伯父は何んでも抵当流れで儲けたんだそうですが、その抵当物の鑑定のかけひきの骨《こつ》は誰れにも掴み得ないとのこと、資産も莫大なものだろうなど申して居りました。
 何はともあれ、戸部の伯父が大隅にいるということは仕合せなことだ、と良人は悦びいさみ、何んとかおすがり申してくるからと躯に元気をつけて大隅まで出かけていっ
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