ま》を蹴開けた。
 小野牧師は[#「 小野牧師は」は底本では「「 小野牧師は」]、寝巻きのまま蒲団の上にしょんぼり座っていた。
「牧師なんて狐だ。狸だ。みんないい加減の代物だ。神様なんて化物だ。大騙《おおかたり》だ。私ア十三年間この娘の上に奇蹟の現われることを祈っていたんだ。ところがどうだ。神様は娘にどんなことをしてくれたンだ。娘は孕《はら》ませられて、それに下し薬迄飲ませられたんだ。娘は死にかかっている。私ア、今になって始めて欽二の云ったことが解ってきた。あれは間違った事を云いやしない。尻尾が出てるぞ。お前さんのそのでっかい尻尾を、私アちゃんと掴んでいるんだ。聖書の蔭にかくれてお前さん達ア悪事をやってる。安心して、し度い放題のことをやってる。一番目の牧師ア私達親子をダシに使って出世して行きアがった。二番目の奴ア、始終寄附金や献金をごまかしていた。其奴ア女が好きで淫売を買うのが道楽だったんだ。揚句の果が他の妻君と一緒に駈け落ちだ。その次のお前さんはどうだ。私の娘に手をつけて、おまけに殺そうとしている。未だ知ってるンだ。お前さんが伝導説教に身を入れる訳もな。お役人が後で焚きつけているんじ
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