は風味の悪くなるものであるも、不味なるものには他の味を求めなければなりませんが、実際の味は各々別個に持つもので、蕎麦のごときも蕎麦そのものの味をたっとばねばならぬは勿論のことで、蕎麦そのものには栄養分を豊富に有しているものでありますから、蕎麦粉の中へつなぎまたは味の向上を計る味の素など以外のものを混入する必要はないと思われます。
蕎麦の味は、要するに蕎麦切として食べることにより、真価を知るという結論になるのであります。
蕎麦切のつなぎ
蕎麦のつなぎは、鶏卵、自然薯、長芋、薯蕷《やまのいも》、大和薯、仏掌薯《つくねいも》などを使用します。しかし仏掌薯は蕎麦切をやや硬くする恐れがあります。
鶏卵を入れて打ったものは、他のものに比較して蕎麦の量が非常に増すものであります。
これがつなぎについて藪忠老人の話によると、[#以下の「(イ)」「(ロ)」「(ハ)」「(ニ)」は縦中横で1字組み]
(イ)鶏卵つなぎは、蕎麦粉一升に(百匁六個位の)卵二個、これに清水を増してこねます。また挽粉の荒い場合は一個を増して三個といたします。
(ロ)薯蕷つなぎは、これは生でおろし込むことが普通でありま
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