蕎麦の味と食い方問題
村井政善
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)否《いな》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)蕎麦は栄養価値中[#「蕎麦は栄養価値中」に傍点]
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その昔、武士と通人は「もり」、町人は「かけ」を好み、百姓は「饂飩」と定まっていたという話があります。
蕎麦の味は「もり」にあり、種物食うべからずという位のものとされているなどと通人はいっています。この「もり」の水が切れるか切れないかというちょっとした間は、蕎麦の一番旨いものとされているのであります。水気が多く残っていてもいけないし、またもそもそにのびてしまってはなおさらいけないもので、旨いという時は水気を切ったその時であります。
蕎麦は硬い方がよいなどと通人のような「キザ」なことをいって、生蕎麦を食って喜んでいる人もあるというから、人はさまざまであります。
専門家にいわせると、「もり」は蒸籠の四隅に盛って平らにならして出すのは本当であるといっています。そうすると箸でつまんでするするといつまでも続いて立って食わねばならないようなことになって、これがよいとさ
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