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第二の女 貴方……殿方でいらっしゃいますわ。
恐ろしい事にも度々お出会になった御方でございますわ。
私達の驚かない様にしずかにわけをお話しなさって下さいませな。
これだけの事を知って故を知らないのは尚恐ろしい気持がいたしますもの。
老近侍 荷の勝ちすぎるお望みじゃ……。が、ま、かいつまんで申せば法王様はあんまりお調子に御のりなされたと云うものでの。
お徳をあがめるものは日増にふえて御領地は日ましにひろがる法王様の御声がかりなら死ぬるのは欠伸《あくび》するより御安い御用と思うものが沢山になると陛下が、
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お前を法王に任ずる
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と仰せらるるのがお気に入らんでの。
第一の女 お気に入らないからと云って。
第二の女 お徳の高いお方だと伺って居りますもの。
まさか御|叛逆《むほん》ではねえ。
老近侍 もう、ずんと前からの事じゃと申す話でござるわ、陛下にお書面でお坊様のお役をきめる事はわしにさせて下されと申し越されてお出でなされたのはの。二三度ま
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