方がいい。
法王(老僧の背後から声をかけて云う)これ婆さん。
わしはよろこんで会うからここへお呼び。
老爺 お勿体もない御方様へ申します。
何にもその様に、今日に限ったことはござりませぬ。
三日も立ちましたならおつむりも軽くなる事でござりましょうから、その時にせいと申します。
それがよい。のう婆。
老婆 そうの事、そうの事。
それがいっちよい。
都にござらしてお歴々のお方の前へ度重ねてまかったものとはずんと違うて、お勿体もない、かたじけない、と思うと涙をらちもなく霑《こぼ》すのと、他愛もなく笑いこける事より存じませぬ者ばかりでござりますもの。
法王 わしはそれがうれしいのじゃ。
早く呼んでお出。
老爺 ほんに有難いと申しても足りぬほどじゃわい。先祖さえよう持たぬ老ぼれ爺《じい》が、法王様からお言葉なんかいただくちゅーは。
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大きな手で信心深さに流れ出した涙をふきながら、
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老爺 そんなら、そう致しますだ。
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二人は戸口から去る。間もなく静かに沢山の足音がして日
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