老婆の小指の指環が一つ目を引く。
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老爺 いかがでござらっしゃります。
先ほど、お薬を煎じしゃった火が大方強すぎた事んだろうとの、婆《ばあ》がいかい事案じて居りまする。
婆 ほんにお坊様《ぼんさま》。
このほうけ婆が、ついうっかり薪をそえたで、常より苦うでござらしただろうかと案じましたので、おわびに出ましたでござります。
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老僧話して居るつもりだけれど声は高いし一つ部屋なので法王に話すと同じ事になって仕舞う。
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婆 (人の好いおしゃべりの口調で)それにの、お天とう様の、のぼらしゃった頃からつめてござらした衆が一刻も早くお尊《たっと》い法王様をおがみたいと云うてでござりましての。
そらな、おききなされませ、
あの広場での人声がここまでどよんで参りましょうが。
老僧 しかしね、
どうしたって今日は駄目ですよ。
大変お疲れ遊ばしてだし第一今御目ざめなすったばっかりなんだから、
「明日」って云ってお帰しなさい。
その
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