窓の外に夜番の武人が持つ「たいまつ」の細長いほのおが二つ前後してかなりゆるゆるよぎって行くのが見える。
思いに沈んだ様に王は話す。
老人は王の体を静かに見上げ見下しして居る。
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王  わしはそなたが、わし位の年頃であった時の世の中の事は恥かしい位に何にも存じて居らぬのだ。
 覚えて居るだけでよいのじゃわしに話して呉れ。
老  古い巻物と同じにさぞ、とぎれとぎれでござりましょうがのう。
 私が貴方様を「和子《わこ》」とお呼び申して居った時より尚ずんと前の事でござりまするのじゃから世の中は今とは不思議なほど変って居りましての、今よりずんとわかり易う世の中の事のすべてが出来て居りましたじゃ。
 男も三つに分ければすべてがすみまして一つはやたらに「けんか」がすきでまるで「けんか犬」の様に人間さえ見ればかみついたり吠えついたりする御仁と次には「名誉」に寝るとから起きるとまでうなされるお人と、恋を恋して居るお人とでの。
「けんか犬」の様なお人は甲冑と武器と馬の手入にきも入りして甲冑の裏に「のみ」ほどの曇りがある、馬の毛並が一
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