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 と神の真似をいたいたのじゃ。
 正直な小鳥は涙をこぼいて痛さを堪えて赤はだかになってしまうと又次の日悪魔奴は、
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木に嘴はいらぬ
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 と申して見えぬ所から石をなげて嘴を折ってしもうた。
 毎日毎日一つずつ大切なものを奪われて七日たった夕方は美くしかった小鳥は赤裸で一本の足で枯枝に止まって居った。
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神様、もう木になれまするか。
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 死にそうな哀な小鳥はきくと、悪魔は大声あげて笑いながら、
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いずれそのうちにはなるじゃろう
木の芽生えの肥料《こやし》に――
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 と申いた時小鳥は枝からころげ落ちて地面にポッカリあいて居った悪魔の穴の中にころげ込んでしまったと申す事じゃ。
 長う話した事じゃ、欠伸は出なんだかな。
法  面白うお聞申いたから出ませぬじゃ。順礼に参った老人にきいた話でござ
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