新政府は、その本質において、地主と同盟したブルジョア政府だった。三月以来の「共和主義」政府は、王朝復興の意図すら持っていた。
臨時政府は、戦争を中止しなかった。「最後の勝利まで」彼等のスローガンはこうだった。全ロシアの企業の資本は、依然として資本家の資本である。社会革命党とメンシェビキは地主の財産没収を放棄した。
殊に農民を苦しめたのは帝国主義戦争であった。「戦争から脱せよ」これが、窮乏のどん底から農民があげた心からの叫びであった。そして、それは臨時政府のブルジョア支配――社会革命党とメンシェビキの権力を倒すことを必要とした。プロレタリアートは、ブルジョアジーとの決定的闘争の舞台に登場して来た。ツァー[#「ツァー」に×傍点]を倒した三月革命は、この舞台をいわば掃ききよめたのだ。
レーニンの率いるボルシェビキは、臨時政府の戦争継続に反対して労農大衆を次第に強く広く結集して闘った。ボルシェビキ党は工場委員会、ソヴェト、その他の団体のうちへ、「すべての権力をソヴェトへ」のスローガンを掲げて起《た》った。ソヴェトこそ、プロレタリアート・農民の革命的民主的独裁の形態だった。
ロシアの労農
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