れたが、ツァーの軍隊のために労働者は蹴散らされた。
この日「血の金曜日」より以来、勤労大衆の胸には、今まで「地上における神の名代」としてうつっていたツァー[#「ツァー」に×傍点]に対する容赦ない憎悪が刻印された。ロシアの勤労大衆は、ツァー[#「ツァー」に×傍点]が専制政治の先頭に立っているものであることを、大きな犠牲によって知ったのである。この日から都市において、抗議ストライキの波、農村においてストライキと地主農園の破壊が起った。労働者は八時間労働制と、専制政治に対する闘争をスローガンとした。
闘争は軍隊にも起った。一九〇五年六月、黒海艦隊に叛乱が起った。「ポチョムキン」号の水兵は、政治的要求を掲げて立ち上った。彼等は士官を捕縛し、僚艦を味方として叛乱を続けたが遂に敗北した。が、この敗北にも拘らず、それはツァー[#「ツァー」に×傍点]の支配を動揺させ、ロシア革命の武装蜂起の価値ある下地となることが出来たのである。
一九〇五年九月以後、プロレタリアートを先頭とする政治運動の波はたかまった。十月ペトログラード(今のレーニングラード)にストライキ、武装蜂起が起った。八時間労働、市民の自
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