、見て下さい、とうとう出来ましたよ。私はまア、どんなにうれしいでしょう。私は貴女に見てもらってから町に行って本にする様にたのんで来ましょう。馬でネ、二人で行きましょう」
[#ここで字下げ終わり]
はずんだ声で云ってさし出した手にはあついあつい、書いたものがのって居ました。
ローズは「もうたまらない」と云う様なそわそわしてそして又いつもより一層娘らしい形をして立ったままそれをよみました。そして紙の上を走って居る目は驚とよろこびと一所になってそれはそれは美くしい光がさして居ます。書いたものは厚い厚いものです。中々一日によみきれそうにもありませんでした。所々、紙を重ねてめくって終まで来た時、
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
ロ「マア、なんと云う立派な詩でしょう、早くお出しなさい、私すぐ馬の用意をして服を着かえますよネ」
[#ここで字下げ終わり]
うれしくてたまらないと云った様な様子をしてローズの姿が戸口から消えてから十分立つとかるい色のいい形の乗馬服を着たローズの姿がまた戸口から出ました。
五分たってから真白な馬は二匹頭をそろえてみどりの森の間をくぐって燈の光の多い町に
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