動に総動員せずにはおかなかった。
窪川稲子が一九四六年六月に発表した「女作者」のなかで、その頃彼女までが報道員として戦争協力にまきこまれていったいきさつを、えぐり出して語っている。「兵隊や兵隊を送った家族の女の感情にもひきずられてその女の感情で」中国へも南方へも行ったのであったが、一九四五年八月十五日がくるまで日本の人民を虚偽の大本営発表であざむきつづけた軍部としては、彼女たちの「泣いて語る話が手ごろに必要だったのである」と。
明日へ[#「明日へ」はゴシック体](一九四五―一九五〇)
一九三九年から一九四五年までの世界第二次大戦は、世界二十億の人民に次のことを教えた。民族の独立と人民の生活の安定のために、帝国主義、国際ファシズムと闘い戦争をこの地球から絶滅するのは、人民の偉大[#「人民の偉大」に傍点]な事業であると。なぜなら、どの戦争でも殺されなければならないのは常に人民であり、その殺戮はますます大規模になっているのだからと。中国は中華人民共和国となりアジアとヨーロッパに民主勢力が拡大した。戦争でもっとも大きい犠牲を払った四十三ヵ国の婦人たちは、国際民主婦人連盟を組織し、世界
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