婦人作家
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)刃《やいば》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)黎明[#「黎明」はゴシック体]
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黎明[#「黎明」はゴシック体](一八六〇―一九〇〇)
一八六八年、フランス資本主義に後援されていた徳川幕府の最後の抵抗がやぶれた。そして翌一八六九年、日本全土にしかれていた封建的統一はそのままとして、その上に維新政権が樹立された。
福沢諭吉の「窮理図解」(一八六八)「世界国尽」(一八六九)「学問のすゝめ」(一八七一)などが、新しい日本の文化をめざます鐘としてひびきはじめた。
徳川の三百年を通じて文化・文学の上で婦人の発言は全くしめ出されていた状態だった。江戸文学は数人の女流俳人、歌人を有し、歴史文学の荒木田麗女の「池の藻屑」「月の行方」などが、源氏物語を模した文体でかかれた歴史物語としてつたえられているだけである。いわゆる維新の女傑たちの文学的表現は、「尊王」の短歌の範囲であった。これらの姉たちは、尊王攘夷というスローガンの実体が、王政復古といいながら実は天皇を絶対権力者とする
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