品であった。婦人作家の作品は男の作家よりも社会的関心がうすいために、かえって作品の中に文学の純粋さ[#「純粋さ」に傍点]を保っているという角度から注目をされたのであった。
 川端康成が次のように語ったことは暗い予告の意味をもった。「女そのものが装いなしには存在しないように女の作家は自分の筆で装った女を私たちにみせるのだ。女流作家の芸術とは、そういう装いになり、それを装いであるが故に嘘だとするのは、私たちの短見なのだ。」そしてそのような装いをもって一種の「絵の中の女」となっている婦人作家の女たちが、「そのためにかえっていとおしくなるのを深く感じた。そしてそのことはそれでいいことなのだろう。」と。婦人作家のそのように装われた[#「装われた」に傍点]文学がジャーナリズムの上に一定の宣伝効果をもっているということ、しかも社会的現実に対する批判の能力は男の作家よりも弱いという事実について認識を与えられた軍情報部は、たちまち、そのような婦人の文筆を利用した。すべての婦人雑誌が婦人の戦争協力のために動員されていた当時、男に対してさえも男が書いたものとはちがったアッピールをもっている婦人作家を、報道活
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