体的に生きるということは、そういう風にして自分の生きた喜び悲しみというものをもう一遍深く深く噛み直して二倍にも三倍にもして自分が一人の人間として生きて行くこと、それをまた社会に拡めることです。自分達お互いがよく生きようとする希望、お互いに信頼してはっきりと生きて行こうという希望、新しい文学の明るい面、ナンセンスではない明るさ、馬鹿笑いでない高笑い、愉快な足どり、一つの希望に結びつけて来る努力、その努力を尊重する気持、前進する気持です。ですから、女の人のこれから書くものに私どもは期待します。何故ならば、労働組合ができてたくさんの権利を持つようになります。そして自分たちの時間がいくらかできます。そうすれば職場にいる女の人たちは今までただ受入れるだけで吉屋さんの小説、女が低いものであるという上に立って書かれたものを有難く読んでいたのを、自分たちで何かしら日記にでも書くようになるでしょう。それはやはり労働時間の短縮とか生理休暇があるとか、労働条件がよくなることと結びつく。あなた方の配給がもう少しよくなったら家庭の主婦も随分時間が出るでしょう。いろいろ女の参政権などの問題のために会合があっても家
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