婦人が今までたとえば小学校教員でも女の教員は月給が初めから安く、且つ永久に安い、たとえ五円でも安くなければ気が済まないという有様で、各官庁会社に勤めている婦人達もそうでした。あの人がいなければちょっと困るという位置の人でも地位は男より低い。古い古い女の人を見ると、うちの国宝だとか、生字引だとか、女でないものになったような扱いをする。そういうことから、苦しくて罷めてしまうという場合もある。それから家庭における女の人がやはりあまり利巧でも困るが馬鹿でも困るというひどい扱いを受けている。そういうことに対して女の人の十分な声、十分な立場、女が幸福であれば男も幸福であるというそういうことを主張していた佐多稲子さん、平林たい子さんのような人達、このような人達は女というものは男よりも決して劣ったものでなく、劣っているとすれば、今までの永い歴史の中に女のおかれていた社会的な地位、そういうものが女を苦しめ低くし、同時にそれが男をも苦しく低いものとした、だから男と女とは援け合って生活全体をよくして行かねばならないという立場に立っている人達、そういう時代に出た婦人作家達も、歴史的な素質を持っています。こうい
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