生産文学」という方向へ動いて次第に文学作品から人間生活の像が追放されはじめた。戦争遂行のために生産は高められなければならず、農民は忍耐づよい増産にいそしまなければならず。この時代に間宮茂輔によって提唱された「生産文学」、有馬頼寧を頂く「農民文学」の会などは、すべて間接に戦争協力の方向に立った。やがて全く自主の世界を喪った純文学が、文学の外のよりつよい軍事的な政治力にすっかり圧倒されて、文芸協会は文学報国会となり軍情報部と情報局の役人をその理事に頂く有様となった。数年前は若い女性のために新しい場面を提供した『女人芸術』もその自由を萎縮させてしまった。これらの時期に送り出された何人かの婦人作家たち、例えば川上喜久子、小山いと子、岡本かの子などが、その創作のモティーヴにおいて、それ迄の人々とは著しく異った要素をもって来ている事実に注目しなければならない。
嘗て横光利一が文学における高邁な精神ということを云った。だがその現実は、社会的生活者としての人間とその文学における思考と行為の収拾しがたい分裂への降服の叫びであった。現代文学は、この時期に入って益々そのギャップを救いがたいものにし、作家の
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