家の地位を確立させるにつれ、彼によって俳味として理解されている一種のたたずまい[#「たたずまい」に傍点]が生活と芸術に定着しつつある様が見られた。
 このようにして、諸作家がめいめいの形で落着こうとしかけている傾向に拍車をかけたのは、改造社の計画になった現代日本文学全集その他の円本大流行の現象であった。日本の出版界としては未曾有の大広告、大競争をして予約を集めたいく種類かの全集によって、多くの既成作家が、彼等の単行本からの印税では嘗て獲たことのないぐらい纏った金をとった。それらの小資産めいた収入を得たことは正宗白鳥夫妻、久米正雄夫妻、吉屋信子などを外遊させもしたが、本質的には益々馴れた平常着の安楽なぬくもりにくるまれる生活へと作家を進めたのであった。
『文芸戦線』の発刊された一九二四年(大正十三年)には、雑誌『文芸時代』によって、新感覚派とよばれる一つの文学集団が形成された。横光利一、片岡鉄兵、川端康成、中河与一、今東光、岸田国士、十一谷義三郎等の諸氏が『文芸時代』の同人であった。このグループの主張するところは、文学の手法における平板な、自然主義風なリアリズムへの反抗であり、大戦後、フ
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