ピア思想である。先に『白樺』の動きについて述べたとおり武者小路実篤の人道主義は、はじめから主観的は汎人間天才論で客観的な社会発達の歴史の具体的条件に立っての究明から出発しているのでなかった。階級の観念が次第にはっきりして、文学運動にもそれが反映しはじめている時期に考えられ、又実現した「新しき村」は、最も率直に表現すれば、経済と精神の一種の薄弱者のよりどころとしてしか意味を存しなかったのである。
ワルト・ホイットマンの詩集『草の葉』を翻訳し、無産運動とその文学運動に対しても必然な発生の理由を理解していたのは有島武郎であった。同じ『白樺』でも武者小路とは全く反対であった。無産階級の解放とその新しい文学の主張を、有島武郎は人道主義に立つ一個の知識人としての自身の良心にとって決定的な関係をもつものとして受けとった。しかも当時の新しい文学の理論は、その成長の段階として多くの未熟な解釈をもっていたところへ、一上流人、一知識人作家として彼の当面していた個人の複雑な条件が絡んで、悲劇的に進行することとなった。
芸術家としての有島武郎を見るとき、彼の人道主義的な傾向は、武者小路実篤の場合より、遙かに
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