美贅沢と対立する社会群として描いた。けれども、それらの作品の筆致、創作の方法は、これまでの旧いリアリズムを脱し得なかった。それらの作家が、執拗に現実にくいさがってそれをあばこうとする熱情、それらの作家たちの生活と文化との来歴から来る丹念さ、自己主張のつよさなどは、リアリズムの手法として云えば、志賀直哉が主観的なリアリズムに於て到達した省略整理の方法さえも押しながし、その本質は発展の方向にあるが、一応の外見は却ってリアリズムを自然主義的なところへひき戻したようなあらわれをもった。このことも文学の問題としては、或る重要な意味をもった。何故ならば、プロレタリア文学運動そのものに反撥した小市民的知識人作家たちは、主として、この文学の創作されてゆく方法に斬新さが欠けているという一点にすがって、やがて一つの文学組織をつくったから。そして、そのうちのある人々の影響は、今日まで、日本の民主主義文学の多難な伝統と並んで、様々に変化しながら次第に害毒をつよめて、いつも対立物としての存在をつづけて来ているのであるから。
このようにして擡頭し、数歩をすすめて来たプロレタリア文学運動の萌芽に対して、武者小路実
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