の関係にもふれはじめたのであった。
これらの無産階級文学の理論は、その後の発展から見れば、素朴であるしおおざっぱでもあるけれども、従来の文学の惰勢的な存在にあきたりない広汎の人々の共感を誘った。中心となっていた小川未明、秋田雨雀、藤森成吉、前田河広一郎、宮地嘉六、宮嶋資夫、内藤辰雄、中西伊之助などのほか、近藤経一、有島武郎などという作家も、この新しい文学理論の同情者であった。
けれども、ここに決して見落すことの出来ない一つの歴史的事情がある。それは、当時提唱されはじめていた自然発生の労働文学、反抗文学、第四階級文学理論の中には、政治と文化との現実的な関係と、階級闘争におけるプロレタリアートとインテリゲンツィアの歴史的な役割についての具体的関係が、ちっとも科学的に究明されていなかったことである。しかも、第四階級の文学と云っても、その理論を組立て、その動きを主唱しているのは当時の急進的なインテリゲンツィアと、ほんとに自然発生に、偶然生れながらもち合わせた文才によって小説をかきはじめた無産階級出身の一二の人々であった。労働問題は活溌におこっていて、組合の組織もまとまりはじめてはいたものの
前へ
次へ
全369ページ中180ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング