んやり対象としていた民衆の本質を、比較的正確に、搾取されている階級プロレタリア「第四階級」と理解して、新しい文学芸術は、この第四階級のものであり、その声でなければならないことを明らかにした。第二は、真・善・美というものを、これまでの美学は一定不変の概念と思っていたが、そうではなくて、美しさの内容や感じかた、善と見る判断のよりどころ、真理とする理解の標準は、民衆芸術論の時期に考えられているように「万人共通の超階級的」なものではない事実を把握した。虐げられている大衆が、よりよく、より人間らしく生きようとして、その要求に立つ示威行進をするとき、要求される側のものの感情が、素直に自然にそれをよいこととうけとるだろうか。はりつめた思いで汗をたらし、行進して来る民衆の列を、現代の新しい美の可能と思って、妻や娘にそれを見せようと願うであろうか。行進が街に出現したその現実が、現代社会の対立の真実の一面であることがそれらの人々に諒解されるであろうか。第三に、第四階級文学の理論の中に、平林初之輔は「第四階級の芸術は(中略)反抗階級の思想的武器として生れるのだ」と云って、階級対階級の闘いとしての政治と文化と
前へ
次へ
全369ページ中179ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング