した。萱《かや》の刈跡を裸足の足の裏にくすぐったく感じながら、グングン林の奥へ奥へと進んだ。
薄い紙を濡らして重ねたようになっている落葉を掻き分けて爪の間に泥を一杯つめ込んだ彼等は、思わず掴んだ蚯蚓《みみず》を投げつけ合ったり、松葉でくすぐり合ったりしながら、先を争って行くと、一番先に立って林続きの墓地裏に入っていた一人の子は、何物か急に見つけたらしくピタリと足を止めて、注意深く前方を透した。
この様子にびっくりした子供等は、皆馳け集って、指し示された一点を揺れる梢の間から、ながめた。
そこには――葉の茂みが泡立つ浪のように崩れている間からは――白い模様のある黒い布が旗のように、はたはたとはためいているのが見えた。
「何だっぺ? 何があげえにヒラヒラしてんだっぺ!」
「ほんになんだっぺ? 行って見べえか?」
「うん、ほんにそれがええ。さ、行って見ろ。俺等こけえ待ってらあ。なあ、源!」
「ああ、ほんにおめえ行って見ろ。俺らこけえに待ってら」
「何《あん》だ、俺れ一人で行《え》ぐのけえ? 厭《や》んだあ、俺れそげえなこと、やんだあ、おめえ等も一緒に来よ!」
「俺等|行《え》ぎだくねえ
前へ
次へ
全123ページ中109ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング