うに走り出した。
 二つに折り曲った体、口を開き歯を露出した頭を前へ突出して、瞬きもせず、ただ一方を見守って砂煙のうちを走る彼の体の周囲には、迅《はや》い風音がシュッシュッと後へきれぎれに取り遺されて行ったのである。
 第二の影はまたソロソロと歩き出した。
 両手で顔を掩いよろめく小さい姿は、風のなぶり者となりながら、次第次第に遠くなって行った。

        十八

 夜中の大風は暁方になってから驟雨を誘った。
 降ったり止んだりする雨は、かなり激しく往還を荒して幾条もの小流れが道の左右に付いて、中央に二本通っている車の轍《わだち》の跡の溝には、茶色の泥水がゴッゴッと云って流れて行った。
 農民共は、皆家に籠って鞋《わらじ》造りや繩|綯《な》いに時を費していたけれども、何かせずにはいられない子供等の一群は、村端れの雑木林へ入っていた。
 そこには、秋の早い頃から名もない「きのこ」が沢山頭を出し、稀には「なめこ」が黄色な姿で小さい採集者を、得意の絶頂まで引摺り上げたりすることがあるので、今日も子供等は、わざと険しい天気に「菌《きのこ》がり」を始めたのである。
 彼等は皆一生懸命に捜
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