元で離魂病者のように動いている。
 両手でしっかり顔を掩い、道一杯にあちらこちらへ吹きよせられ、吹きよせられて来た人影は、思いがけぬ人の足音に驚かされたらしく、掌の中から顔を出して、暗と塵の幕を透して、来かかる者を見ようとした。
 絶えずよろけながら辛くも持ち堪えていた者の前に現れた第一の人影は、どれほど恐ろしく偉大なものに見えたろう!
 第二の影はよろよろと片陰の木の茂みに身を潜めた。
 人影を行き過ぎさせようとしたのである。
 けれども、どうしたことか、今まで正面ばかりを見ていた第一の影は、その木立の前へ来るとピッタリ歩くのをやめた。そして、非常に熱心な態度で反対の方を見守っている。そこには、かなり多くの木々の梢に遮られながらも、村役場の灯火が赤く赤く、非常に目立つ輝きを以てまたたいていたのである。
 第一の人影は、暫く全身の注意を傾けて、その一点の光明を凝視していたが、やがて急に身を躍らせ両手を宙に振りあげて跳ね上ると極度の歓喜《よろこび》と喫驚《おどろき》の混同したような、非常に高く鋭い、
「ワアーッ!![#「!!」は横1文字、1−8−75]」
という叫び声を発するや否や毬のよ
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