下げたものにして与えた。それも一般にはしらさずこっそりやって、父兄をおどろかし、子供たちをがっかりさせている。学童の知能低下は、子供のつみよりおとなの責任であることは明瞭だ。文部省は、こそこそ教科書の小細工をするより世論はこれだけ真剣に発言しているのだからそれをバックとして、予算をとるために堂々奮戦し、世界の常識にも訴うべきである。文部省がおてもりのユネスコ準備会をこしらえようとしたからには、世界ユネスコの注意をも喚起したらよい。大学法案と云い、六・三制予算丸けずりのやりかたと云い、今の政府が国民生活の真の発展について、誠意をもっていない態度はあまりあらわにすぎる。
よりよく生きるため、より美しく平和に伸びるために必要な積極政策は圧しつけて、一方では考査特別委員会、非日委員会、新聞用紙割当改正、更にあらゆる方法での買収を可能にするような選挙法改正と、多数をたのむいまの政府のねらいどころはどこに向っているのだろう。「暁に祈る」吉村隊の身の毛もよだつ残虐行為は、正義のために裁かれなければならないと云いながら、近藤鶴代外務次官はその口で、太平洋同盟を云っている。日本を新しい危険と不幸にまき
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