が不明の活動を援助[#「不明の活動を援助」に傍点]しているというようなさかさまごとを臆面なく披瀝して軍事活動を合理化している。又「不幸な犠牲者群」として、朝鮮農民避難者に対し感傷的な辞句をならべている。「ただ無言のあいさつ」をする彼に対して、朝鮮農民が「たれ一人頭をあげるものも無かった」のは当然ではあるまいか。彼らは、筆者よりよく知っているのだ。たれが、朝鮮から彼らを満州の荒地へ追いこくったかを! そして、今またその満州へまでやって来ているのは何者であるかを、彼らは知っているのだ。
このファッシズムの報告文学とならんで、『中央公論』に谷譲次の大衆読物、「第二次世界戦争発端」というものが載っている。
谷譲次はこの文の終りに「本篇は目下の国際関係や軍事事情を完全に、そして、有意識的に無視したものである」から、少しでもそういう目で見られては困ると断り書をつけている。
そんな断り書をつける位なら、漠然として、現実の影響力のない本文かというと、どうして。筆者がこの数万語で煽ろうとしている民族の対立は本能である、というにくむべき侵略主義の煽動、ソヴェト同盟についての非科学的なデマゴギー、「第
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