更に一層高められて来た階級意識とともに、すっかり変った。
 これまでのソヴェト文学は、もう一遍大衆に、きびしく見なおされた。
 同伴者《パプツチキ》の作家は、彼らのしゃれた装釘の本で何を書いているか?
 構成派の作家たちは、ハイカラで気取った文章で、何をいおうとしているか。そして、それは、社会主義社会への達成に、汗と血を惜しまぬソヴェト・プロレタリアートのためにどんな価値をもっているか?
 同伴者《パプツチキ》に比べて、はじめ技術が不足していたロシア・プロレタリア作家同盟(ラップ)は、習得した技術と正しい階級的任務の自覚によって、一九三〇年には、大衆の支持のもとに、ソヴェト同盟の芸術運動における指導権を確立した。
 プロレタリア・農民はリアリストである。日本では、日本の情勢に応じて、彼ら大衆の清掃力を芸術活動の上へ働きかけた。それが、プロレタリア芸術戦線の統一強化として今度の「文戦」の歴史的任務の終結、「ナップ」へのより拡大された左翼作家の組織化という事実になって現れたのだ。
 ところで、「ナップ」――全日本無産者芸術団体協議会は、四月下旬からつぎつぎに各同盟の大会をもった。
 五月二
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