文芸時評
――「ナップ」第三回大会にふれて――
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)同伴者《パプツチキ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)国際革命[#「革命」に×傍点、伏字を起こした文字]
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一九三一年五月は、日本のプロレタリア文学運動の歴史にとって、一つの記念すべき月だった。
中旬に、労農芸術家連盟(機関誌『文芸戦線』)が第三次の分裂を行った。脱退した細田源吉以下十一名はすぐ前線作家同盟を組織した。
だが数日のうちに組織の名称を第二「文戦」打倒同盟と変えた。彼らは、日本の階級闘争の現実とハリコフ会議で行われた国際的批判とによって、いわゆる「文戦派」のファッショ化が、どんな階級的裏切りであるか、自己瞞着しきれなくなって来た。「ナップ」の守って来た線が正しかったことを認めた以上、別に、前線作家同盟というものを作るべきではない。
まず、「文戦」を脱退して日本プロレタリア作家同盟に参加した黒島伝治その他は第一回の「文戦」打倒同盟によって、猛烈な自己清掃を行った。それから新しい踏み出しで日本プロレタリア作家同盟
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