である。
だが「ナップ」は、第三回全国大会に各国からのメッセージをうけとっただけで安閑としてはいられない。官憲が「ナップ」の国際的同盟加入に関して、その討議さえ禁止した事実は、そのままのこってわれわれの将来の活動を現実に掣肘する。
すでに実質的には国際的に拡大している「ナップ」の活動が、大衆の力によって国際的に組織化されたのであるが、それはどの程度まで合法の形をとり得るだろうか?
官憲が「ナップ」にしかけたわながここにある。世界の階級闘争の大勢がどっちを向いて流れているか、それは手にとるように明らかだ。これまで合法的組織として活動し、だんだん生成して来た「ナップ」を、それが国際的なプロレタリア文学運動に結びついているという点でひっかけ、挫き、無力なものとしようとするこんたんなのだ。
「――議長! 緊急動議!」
「はい」
「さっき朝鮮プロレタリア作家同盟(カップ)からのメッセージがよまれましたが、この際、特別な意義ある『カップ』に対し、われわれは大会の名においてメッセージを送りたいと思います」
「ただ今、朝鮮プロレタリア作家同盟へ大会の名においてメッセージを送ることが緊急動議として
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